障害年金とは?どんな人がもらえる?受給額や請求方法も解説

障害年金とは、病気や怪我により生活に支障が出た場合に受け取れる年金です。

「どんな人が対象?」
「受給の条件は?」
「家族が代理で請求できる?」

障害年金の受給要件や年金額について、図解つきで解説します。

障害年金は、日本の公的年金の一つです。病気や怪我などで生活に支障が出た場合に、要件を満たせば受け取ることができます。

障害年金には、以下の2つがあります。

1. 障害基礎年金
2. 障害厚生年金

「初診日」に加入していた年金制度の種類によって、支給される年金が変わります。

● 初診日

障害の原因となった病気や怪我について、初めて医師の診療を受けた日

1. 初診日に加入していた年金が「国民年金」の場合

a.

障害の等級が障害等級表に定める1級または2級の方:「障害基礎年金」が支給されます

2. 初診日に加入していた年金が「厚生年金」の場合

a.

障害の等級が障害等級表に定める1級または2級の方:「障害基礎年金」にプラスして「障害厚生年金」が支給されます

b.

障害の等級が障害等級表に定める3級の方:「障害厚生年金」のみ支給されます

国民年金機構は、障害年金の対象となる病気や怪我を次のとおりに定めています。

1. 外部障害

a.

眼、聴覚、肢体(手足など)の障害など

2. 精神障害

a.

統合失調症、うつ病、認知障害、てんかん、知的障害、発達障害など

3. 内部障害

a.

呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、肝疾患、血液・造血器疾患、糖尿病、がんなど

引用:障害年金の対象となる病気やケガにはどのようなものがありますか。|日本年金機構

障害年金は、体の障害だけではなく、精神疾患や発達障害も対象になります。「長期間うつ病の治療を続けている」「双極性障害の薬を長年服薬している」などがあれば、障害年金を受け取れる可能性があります。

障害年金を受け取るためには、3つの条件を満たす必要があります。

1. 初診日が特定できる
2. 保険料の納付要件を満たしている
3. 障害認定基準を満たしている
1. 初診日が特定できる

初診日とは、前述のとおり、障害の原因となった病気や怪我について、初めて医師の診療を受けた日です。障害年金の請求には、初診日を証明できる書類をつける必要があります。

一般的には、初診時の医療機関が作成した「受診状況等証明書」を提出します。書類の作成が可能か、初診を受けた病院に相談してみましょう。

初診のカルテが残っていない、廃病になっているなどの理由がある方は、「受診状況等証明書が添付できない申立書」を提出することで初診日を認定できる可能性があります。

2. 保険料の納付要件を満たしている

初診日が分かったら、次は保険料納付要件を確認しましょう。障害年金を受け取るには、以下の納付要件を満たしている必要があります。(年金制度に加入していない20歳前の期間に初診日がある場合は、保険料の納付要件は不要です)

初診日のある月の前々月までの、公的年金の加入期間の2/3以上の保険料が、納付または免除されている

初診日が令和8年3月末日までにあるときは、特例として以下の条件をすべて満たせば納付要件を満たしていることになります。

1.

初診日において65歳未満であること

2.

初診日のある月の前々月までの1年間に、保険料の未納がない

3. 障害認定基準を満たしている

最後は、認定基準の確認です。障害年金を受給するには、「障害認定日」に国が定めた「障害認定基準」を満たしている必要があります。

障害認定日
初診日から1年6か月経過した日、またはその期間内に治った日(症状が固定されて治療効果が望めない日)を障害認定日と言います。

障害認定基準
障害年金の対象になるかを示した基準です。障害認定日において、障害基礎年金は障害等級表が定めた1級または2級、障害厚生年金は1級から3級のいずれかに該当している必要があります。

障害等級表は、日本年金機構の公式サイトで確認できます。

日本国内に住んでいた60歳以上65歳未満の間に障害が生じ、その状態が続いている場合は、65歳までに請求すれば受給できる可能性があります。

初診日から5年以内に病気やケガが治り、障害厚生年金を受けるよりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)が支給されます。

障害年金の額は、障害基礎年金か障害厚生年金によって変わります。また、障害の程度を示す「等級」によっても、年金額は変動します(この場合の等級は、障害者手帳の等級とは関係ありません)。

障害基礎年金の場合

障害基礎年金は定額で、等級によって額が決まっています。
2024年度の年金額は以下のとおりです。

1級 2級
1,020,000円(月額85,000円)
(昭和31年4月1日以前に
生まれた方は1,017,125円/年)
816,000円(月額68,000円)
(昭和31年4月1日以前に
生まれた方は813,700円/年)

障害基礎年金を受給する方に、18歳到達年度の末日までにある子(障害者は20歳未満)がいる場合は、子の人数によって加算されます。

1人~2人目 3人目から
1人につき234,800円/年 1人につき78,300円/年

18歳到達年度の末日
日本の学校の学年度と同じで、4月1日〜翌年の3月31日までを一括りで考えます。末日は3月31日です。

障害厚生年金の場合

障害厚生年金は、以下のように計算をします。

1級 ( 報酬比例の年金額 × 1.25 )+ 配偶者の加給年金額 234,800円
2級 報酬比例の年金額 + 配偶者の加給年金額 234,800円
3級 報酬比例の年金額
(最低保障額は612,000円/年)
( 昭和31年4月1日以前に生まれた方は610,300円/年)

障害厚生年金は、計算が少し複雑です。まずは等級によって金額差があるということだけ、知っておくといいでしょう。

障害年金を請求するタイミングは、以下の2つがあります。

1.「障害認定日」による請求

障害認定日に障害等級が1級または2級(厚生年金加入時は3級も含む)の状態にあるときに、障害認定日を過ぎたタイミングで請求をする方法です。

2.「事後重症」による請求

障害認定日に障害等級が1級または2級(厚生年金加入時は3級も含む)の状態に該当しなくても、その後症状が悪化して等級に該当する状態になった場合は、「事後重症」という形で障害年金の請求ができます。

障害年金の書類の提出先は、障害基礎年金か障害厚生年金によって変わります。

障害基礎年金 障害厚生年金
・お住まいの市区町村役場の窓口
(初診日が国民年金第3号被保険者期間中の場合は年金事務所、または年金相談センター)
・年金事務所
・年金相談センター

障害年金を受け取るご本人が窓口に行くことができない場合は、ご家族などの代理人が委託請求することも可能です。

提出書類は、障害基礎年金か障害厚生年金によって変わります。お子さまの有無により追加書類がある場合もあるため、事前に日本年金機構の公式サイトを確認することをおすすめします。また、提出は65歳の誕生日の前々日までにしなくてはいけないので注意しましょう。

障害者手帳を持っていないと、障害年金を受けられない?

いいえ。
障害者手帳と障害年金は別の制度です。手帳を交付されていない、または手帳の認定対象ではない傷病でも、障害年金を受け取れる可能性があります。
働いていて収入があると、障害年金を受けられない?

いいえ。
障害年金は、ご本人が支払った年金をもとに支給されるもの(20歳前に初診日がある障害基礎年金は除く)です。そのため、現在収入があっても、要件を満たせば障害年金を受け取れる可能性があります。
20歳未満の人は、障害年金を受けられない?

いいえ。
10代のうちから、厚生年金に加入しながら働いている方は存在します。以下の要件を満たせば、10代でも障害厚生年金を受給できます。

1.

初診日に厚生年金に加入している

2.

障害認定日に障害認定基準を満たしている

3.

保険料の納付要件を満たしている


また、厚生年金に加入していない場合でも「20歳前の傷病による障害基礎年金」が該当する場合があります。年金の支給に関して制限や調整はありますが、20歳未満に初診日がある際は、保険料の納付要件を問わず障害年金を受給できます。

ただ、障害基礎年金の場合は、要件を満たしていても実際に受け取れるのは20歳到達日以降になります。
障害年金は、請求後すぐに受け取れる?

いいえ。
障害年金を請求すると、要件を満たしているか審査が行われます。審査にかかる時間は約3か月ですが、書類不備などによりそれ以上かかる可能性もあります。

審査により受給が決まると、年金証書と支給決定通知書が送られてきます。初回の振り込みは、年金証書が届いてからさらに1か月〜2か月ほどかかります。障害年金を希望する場合は、請求に向けて早めに動くことをおすすめします。
障害年金を受け取ると、勤務している会社に知られる?

いいえ。
年金事務所は、障害年金に関する連絡を会社に対しては行いません。ご本人が申告しない限り、障害年金の受給情報は会社には知られません。

ただし、障害年金を受給中に「障害手当金」という制度を利用する場合、会社に障害年金の受給状況が知られる可能性があります。障害手当金とは、病気や怪我で生活が困窮した場合に、初診日に厚生年金に加入していた方が一時金を受け取ることができる制度です。

傷病手当金の申請書には、障害年金を受給している旨を記入する欄があります。会社に記載してもらう部分もあるため、その際に障害年金の受給状況が伝わる可能性があります。
障害年金の相談は、家族でもできる?

はい。
ご家族でも、年金事務所への相談は可能です。

ご家族が障害年金を請求する際は、障害年金を受け取るご本人の委任状の有無によって、窓口に持参する書類が変わります。
委任状あり 委任状なし
・委任状
・代理人の本人確認書類(運転免許証や個人番号カードなど)
・ご本人の身体障害者手帳、要介護認定の通知書、精神障害者保健福祉手帳または療育手帳など
・施設、療養機関に入所されているときは、施設長の証明(写し可)
・代理人の本人確認書類(運転免許証や個人番号カードなど)
委任状は、日本年金機構の公式サイトからダウンロードできます。

障害年金の手続きは、煩雑になることが多いです。分からないことがあれば、市区町村役場の窓口、もしくは最寄りの年金事務所に相談することをおすすめします。

また、社会保険労務士に相談するのもいいでしょう。社会保険労務士は、行政機関に提出する書類の作成や申請を代行してくれる専門家です。支払いは「着手金+成功報酬」もしくは「成功報酬のみ」が多いです(初回相談無料のところもあります)。

病院やクリニックによっては、精神保健福祉士や社会福祉士などのスタッフが、手続きを手伝ってくれる場合もあります。

最後に、本記事のおさらいです。
障害年金を申請するときの流れを以下にまとめました。ご本人の状況によって変わる部分もあるので、大まかな流れとして参考にしてください。

<執筆者>

脊尾 大雅(秋葉原社会保険労務士事務所 社会保険労務士、精神保健福祉士)
メンタルヘルス対策、ストレスチェック、アサーションと労務管理の専門家。労使双方の成長につながる研修の実施を通じて、より良い職場環境づくりを行なっている。

この記事は、2024年6月時点で日本年金機構が発信している情報をもとにしています