うつ病患者を支える“家族”へのアンケート調査

encourageでは、10月10日の「世界メンタルヘルスデー」に先立ち、うつ病等の精神疾患を患う方のご家族(219名)を対象に「患者を支える上での困りごと」をテーマとするアンケート調査を行いました。

この調査は昨年encourageで実施したペイシェントジャーニー(治療を進めるプロセスにおける経験や思考、行動などの全体像を把握するための施策)で明らかになった「うつ病患者の家族が抱える課題」について定量的に検証するために実施したものです。

調査の結果、うつ病等の精神疾患患者のご家族の多くが「病院(主治医)探し」や「(患者本人との)コミュニケーション」、「公的支援/その他のサポートの手続き」について、十分な情報を得られずに悩んでいることが改めて明らかになりました。

調査概要

調査目的:「うつ病患者の家族が抱える課題」の定量的な把握・検証
調査期間:2022年9月7日〜9月21日
調査対象:うつ病患者の家族向けコミュニティサイト「encourage」の利用者
対象者数:219名(うち166名がうつ病患者のご家族、55名は他の精神疾患患者のご家族)
調査方法:オンラインアンケート
設問および結果:調査全文をご要望の方は別途お問い合わせください

調査結果のポイント

(1)家族は「何に」困っているのか

うつ病患者の家族の困りごととして多く挙げられたのは「患者本人とのコミュニケーション」「病気・病状」「治療のこと」の3点。

医療機関側での対処が期待できる「病気・病状」と「治療のこと」を除くと、「患者本人とのコミュニケーション」「病院探し・主治医探し」「患者本人の就労のこと」が多く挙げられた。

うつ病の患者とのコミュニケーションは7割以上もの家族が抱えている大きな困りごとであるが、その内容をより詳細に見てみると「患者本人に対する心配」と「サポートする家族自身への影響」の2つに大別される。

患者本人に対する心配では「症状の改善が長期間みられない」「自身の言動により、家族の症状が悪化してしまう」が多く挙げられた。

一方、家族自身への影響としては「患者本人の言動に自分(家族)もネガティブな影響を受ける」「治療の見通しや仕事のことなど、先行きが見えず不安」という意見が多く挙がっていた。

(2)家族は「いつ」困っているのか

うつ病患者と関わる中で悩み戸惑う時期としては「治療中」「治療開始」「診断前後」と、治療までの時期に集中している。

現在症状が安定しており、社会復帰を見据えている群であれば治療後の時期の悩みも多い傾向が見られるが、そのような群においても悩みは治療までの間で特に多く見られた。

(3)家族が困っている「背景」(情報入手の機会・手段)

うつ病の患者家族の情報入手経路を見ると、診療時に触れる機会が多いと思われる「主治医」よりも「個人ブログ・経験談」や「製薬企業のサイト」が上位に挙がっていた。

病院・主治医については最も手段として利用されているものでも「製薬企業のサイト」が4割弱と、定まった手段ではない様子であった。また制度・サービスについては「個人ブログ」か「製薬企業のサイト」が3割弱、うつ病患者とのコミュニケーションについては「個人ブログ」が5割程度と、個人が発信する情報に頼らざるを得ない状況が浮き彫りとなった。

encourageからの提言

今回の調査結果から、うつ病患者の家族の多くが「患者本人とのコミュニケーション」や「病気・症状」「治療」について、十分な情報やサポートが得られず悩んでいることが明らかになりました。

調査結果を踏まえて、患者や家族が治療の初期段階で接点を構築しやすい、かかりつけの病院・主治医経由で、家族がより多くの情報やサポートを得たり、悩みを相談したりできる仕組みを構築することが重要と考えます。また、多くの家族が情報収集手段として利用している製薬企業のサイトにも「患者とのコミュニケーションの取り方」など、病気や治療に関する情報以外のコンテンツを充実させていくことも、患者の家族を支える上で有効だといえるでしょう。

encourageとして上記を実現するために、うつ病患者の家族向けコミュニティサイトの運営を通して蓄積したナレッジを活かし、医療機関や企業と連携しながら、課題解決に取り組んでいきます。