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2018年10月06日 更新

病院、主治医とのかかわり

うつ病患者の家族向けコミュニティサイト「エンカレッジ」×「ぷるすあるは」のコラボ、うつ病などを抱えた方のパートナー・配偶者の方から、よくたずねられる質問のコーナーです。今回は、病院、主治医とのかかわりがテーマ。特に、診察でパートナーの方が自分の困りごとについて話せない、聞けない、という質問についてです。

はじめに

うつ病の方を支えるご家族の方の相談の中で、多くみられるのは、主治医からもっと詳しく話を聞きたいけどうまく聞けなかった、家での様子を主治医に伝えたいけど、伝えられないというお悩みです。
病気で苦しんでいるご家族にどんな言葉をかけてよいのか、どんな風に接したらよいのか、早く良くなってもらうにはどうしたらよいか等、一緒に生活するご家族にとって、知りたいと思うのは当然のことだと思います。 しかし、うつ病になったご本人の受診にご家族が同行して、主治医から話を聞こうとしても、うまく質問ができなかったり、質問しても、ご家族が知りたいと思っていた情報を主治医が話してくれなかったりすることがあります。

今回は、うつ病を治療するご本人を支えるご家族がどうすれば、主治医と良好なコミュニケーションがとれるかを考えてみたいと思います。

主治医は何を考えているのか

まず、主治医はどのようなことを考えて治療をしているでしょうか。
患者様の症状・状況を見立て、必要な治療を施すことはもちろんですが、特に精神科領域の主治医は、患者様との信頼関係を構築することをとても大事にしています。
適切な診断をし、適切な薬を処方したとしても、それを患者様が信用していなければ、きちんと薬を内服しなかったり、中断してしまったりして、治療はうまくいきません。ましてや、患者様自身の気持ちや感情について話をしてもらなければ、診断をおこなうことすらとても難しくなります。
また、患者様が主治医の外来を受診してくれなければ、それ以上何もすることはできません。ご家族がご本人のためを思って同席いただいても、主治医からその時のご本人との信頼関係を崩すようなことを伝えるのは難しいですし、だからといってご本人がいないところで、ご家族とだけお話すれば、場合によっては、患者様ご本人が置き去りになり、主治医とご本人との信頼関係を破綻させることにもなりかねません。

また、外来診療は、限られた時間の中で行われています。治療にあたる多くの医師は、患者様一人ひとりにできるだけ丁寧に対応したいと考えていますが、限られた時間の中で、診療を求める患者様すべてに対応しなければなりません。急にご家族が同席して説明を求めても、十分に時間をとることが難しいというケースが発生してしまうことがあります。

良好なコミュニケーションをとるために

では、ご家族が患者様ご本人の受診に同席し、主治医と良好なコミュニケーションをとるにはどのような点に気をつければよいでしょうか。
まずは、受診する前に、患者様ご本人と相談して、同意を得ることをお勧めします。
ご家族が良かれと思っても、患者様ご本人は、強いストレスを感じたりすることもあり、そのような状態では、主治医は患者様を置き去りにしてご家族とのコミュニケーションを優先することはできません。ぜひ、受診前に患者様ご本人と相談して、同意を得て同席するようにしてください。

次に、受診前に主治医に何を聞きたいのか、何を伝えたいのかをメモ等に書き出して整理することをお勧めします。
これは、いざその場面になると、たくさんのことが思い浮かんでしまい一番聞きたかったこと、伝えたかったことがあと回しになってしまったり、診察室の中にはいって緊張等でうまく言葉にできなかったりすることへの対策になります。

最後に、初めてご家族が同席する場合や、いつもよりじっくり主治医と相談されたいときは、事前に病院に連絡をして、受診の時間等を相談しておくことをお勧めします。
病院の方針や主治医の考えにもよりますが、診察のタイミングを最後に回したり、診察の時間を長めに見積もっておくなど、事前に他の患者様への影響を小さくするような対応をとってくれることがあります。

最後に

今回は、うつ病を治療するご本人を支えるご家族がどうすれば、主治医と良好なコミュニケーションがとれるかを考えてみました。
良好なコミュニケーションをとるために、いくつかの方法をご提案させていただきましたが、それでも、主治医にこんなことを聞いてもよいのかなとか、話しにくいなと思われる場合は、まずは病院にいる看護師やケースワーカー、もしくは受付の方に声をかけてみてもよいかもしれません。看護師やケースワーカーの方でも、その場で相談にのってくれることもありますし、主治医につないでくれたりしてくれるかもしれません。

うつ病の治療は、長期にわたることがほとんどです。患者様ご本人を支える主治医とご家族が良好なコミュニケーションを維持することは、ご本人の治療経過にもとても重要です。患者様を支えるためにも、主治医とよい関係を構築したいですね。

担当

エンカレッジ

執筆者

野崎卓朗(産業医)

大手企業で産業医として、日々メンタルヘルス不調の方の復職支援を行う。中小企業や行政での復職支援、精神科外来勤務など、幅広い経験を持つ。

参考資料

encourage|エンカレッジ|うつ病患者の家族向けコミュニティサイト
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