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2022年03月06日 更新

パートナーがうつ病と診断。義両親に伝えるべき?報告の仕方など

本記事は、うつ病患者の家族向けコミュニティサイト「エンカレッジ」と、精神障がいを抱えた親とその子どもを応援するNPO法人ぷるすあるはのコラボ記事です。

夫や妻がうつ病と診断されたとき、義両親に対して「自分から相手の両親に伝えたほうがいいの?」と迷う方も存在します。ご本人の気持ちや義両親の受け止め方を想像すると、どう動けばいいのか簡単には決められないですよね。

今回は、配偶者がうつ病と診断されたときの義両親とのかかわり方を、臨床心理士がお話しします。

はじめに

配偶者がうつ病と診断されたとき、ご家族から受けるご質問で比較的多いものが、義実家とのかかわり方です。配偶者の両親(義両親)にどう知らせたらいいか、どこまでサポートしてもらったらいいかなど、義両親への対応の仕方を悩んでいる方は少なくありません。

義両親とのコミュニケーションに迷う背景には、いろいろなご事情があると想像します。

  • 義両親も若くなく、通院治療中。多くをお願いすると負担になるのではと不安を感じる。ただ、彼らの子のことでもあるので、どこまでなら求めてもいいか

  • 義両親との会話の際、うつ病について話さないと嘘を付く必要が出てきたり、話が矛盾する。その度に気を使うのがつらいので、事実を伝えたい

  • 自分から義両親に伝えるのは、配偶者が嫌がるのではないか

  • このままの生活では体力的・精神的・金銭的にギリギリなので、義両親に頼ることで負担を減らし、少しでも安心したい

対応の仕方には、ご家庭ごとの義両親との関係性も絡んできます。義両親への接し方を迷うのも、もっともなことでしょう。

義両親とのかかわり方・伝え方

ここからは、具体的な義両親とのかかわり方について、義両親との関係性ごとにお話しします。

義両親のサポートが期待できる場合

ご自身と配偶者ともに、義両親との関係が良好。かつ、義両親がサポートとして頼れる方々であり、ご自身が「このまま続けていくのは苦しい」と感じているのなら、遠慮せず頼ることをおすすめします。

義両親にサポートをお願いする際は、できれば事前に配偶者に伝えるようにしましょう。

「◯◯の部分をひとりでやっていくのは難しいから、あなたのご両親にも可能な範囲で協力をお願いしようと思っている。自分から連絡するけれど、それでいいかな?」

など、お願いするサポートの範囲も含めて伝えつつ、ご本人に確認を取るといいと思います。

義両親とのすり合わせについて

どこまでサポートをお願いするのか、現状を伝えながら、義両親の可能な範囲についても確認してみましょう。

ただ、ご自身と義両親との関係性、また配偶者と両親との関係性は、本当にさまざまです。なかなか理想通りに進まない場合も多いでしょう。ただでさえ毎日気を張り、頑張っている中で、義両親とのコミュニケーションにも気を配るのはとても疲れるはずです。

「義両親なのでサポートをお願いする」ではなく、「サポートとして頼りになるか?」を判断材料にして、義両親とのかかわり方を検討するのもひとつの方法かと思います。

義両親のサポートが期待できない場合

義両親のサポートは期待できないけれど、病気について伝えないと支障が出る場合は、必要なことだけを伝えるのもいいかもしれません。

  • 仕事の疲れで配偶者の体調が優れず、しばらく自宅療養をすることになった

  • 医師から「本人をゆっくり休ませるように」と言われているので、しばらくそっとしておいてほしい

  • 回復してきたら、こちらから連絡します

  • 難しいことは重々承知ですが、このままだと◯◯なので、△△だけはお願いできませんか

義両親に伝える際は、できれば配偶者にも「こういう風に伝えるけれどいいかな」と、あらかじめ伝えておくといいですね。

さいごに

義両親に頼るのが難しい場合や、その他にサポートが必要な際には、自治体の福祉担当・保健所・保健センター・精神保健福祉センターなどに相談してみましょう。

以下に、ご家族向けの相談先やサービスをまとめました。ひとりで負担を抱えこまずに、受けられるサポートは十分に活用してくださいね。

ご家族向けの相談先・サービス

病気を抱えているご本人を支える、ご家族向けの相談先やサービスの情報です。

ご家族の集い・相談先

◼︎ パートナーの集い
パートナーに特化した集いの情報がまとまっているページです。参加者をパートナーに絞った集いは、全国的にまだ少ないのが現状です。
参加者をパートナーに限定しない家族の集いや家族教室などは、全国で開催されています。

◼︎ 都道府県連合会一覧
全国精神保健福祉会連合会「みんなねっと」のページです。みんなねっととは、精神に障がいのある方のご家族が結成した団体です。

◼︎ スマイルナビゲーター
うつ病の当事者やご家族を対象に情報発信している「スマイルナビゲーター」では、イベント情報をまとめているページでうつ病関連のイベントを探すことができます。

社会福祉サービス

担当

エンカレッジ

執筆者

三瓶真理子(EASE Mental Management代表カウンセラー、臨床心理士)
医療機関(精神科・心療内科)、大手EAPプロバイダー、上場企業の専属臨床心理士を経て、働く人と企業のメンタルヘルス相談をおこなっています。

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