うつ病患者の家族向けコミュニティサイト「エンカレッジ」×「ぷるすあるは」のコラボ、うつ病などをかかえた方のパートナー・配偶者の方から、よくたずねられる質問のコーナーです。今回は子どものことがテーマです。
ページにお越しいただきありがとうございます。
パートナーの方からのご質問で、子どものことも、よく話題にあがるテーマです。
このコラムでは、病気の方の子どもへの接し方、療養環境と子育て環境との両立、経済面、そして、子どもの将来の不安などについて書きます。
病気になる前はそうではなかったのに…例えば、子どもと遊ばない、子どもが声をかけても返さない、子どもに強く当たってしまうことがある、子どもが怖がっている…といったときには、どう対応したらよいでしょうか。
うつ病で具合が悪い状態は、脳や気持ち、体のエネルギーがなくなってしまっている状態です。子どもへの愛情があっても、子どもと遊んだり子どもからのアクションに返すことが難しくなることがあります。頭がまわらなくて、会話のスピード感についていけなくなったり。また、病状からイライラがでてしまうこともあります。
子どもに対してできることに、年齢や子どものキャラクターにあわせて説明することがあります。例えば、『今は病気でしんどくてお休み中やから、しばらく遊んだりはお休みかな』『〇〇のこと嫌いになったり、わざとそうしてるわけじゃないよ』など。
必ずしも病名を伝えるということではなくて、子どもが不安やストレスに感じていることについて、少しでも安心できるような説明ができたらと思います。
安全が守られない、暴力がある、といったときは、迷わず、第三者に相談します。
*参考ページ
》親がこころの不調になったときの子どものケアガイド
調子が悪いときには、テレビの音もつらいなど、音に対してもとても敏感になることがあります。子どもがぐずらないように、音を立てないようにと気を使ったり、無理してでも子どもと外出するようにしていますが、結果、みんなヘトヘトに…といったときはどんな工夫ができるでしょうか。
療養と生活の両立は、病状もそうですが、住環境にも左右され、お互いにとって切実なことかと思います。すでにされている工夫もあるかと思いますが…物理的に互いの環境を整えるという視点で、考えられる工夫をあげます。
・デイナイトケアなど本人がなるべく長く過ごせるところを利用
・耳栓やイヤマフなどの防音アイテムを活用(お互いのお助けアイテム!)
・子どもを連れてゆっくり過ごせる場所を開拓
・子どもを預けられる人・場をフル活用
・金銭的な余裕があれば、割り切って、ウィークリーマンションやホテルを活用
・休息入院(家での生活状況、子どもが小さくて家で休めないといった事情を伝える)
子どもの教育費や日々の生活費が心配という声、たくさんあります。
精神疾患の病状や経過は、個人差が大きく、明確な見通しがたたないことも多いため、先のことが不安になるのは無理もないことだと思います。
働き盛りで病気になり、休職、退職など、ライフプランを一から見直さなければ…ということもあるかもしれません。
経済面の不安について、パートナーの方ひとりだけで抱えずに、病院のケースワーカーの方などの力も借りて、使える制度やサービスを使っていけるとよいです。
子ども関連の経済的な支援の制度や地域の取り組みも、近年、いろいろできています。
どうなるかわからない先の先のことまで考えて、「先取り不安」になりすぎていることもありますので、やはり、ひとりだけで考えずに、第三者の客観的な視点があるとよいと思います。
*参考ページ
》精神疾患、精神障がいの方が使える経済的支援・サービス
》障害年金ってなに?どんな人がもらえるの?本人以外も相談できる?受給額、申請先も解説!
》医療費を軽減できる「自立支援医療(精神通院医療)」って?自己負担額や申請方法を解説!
子どもさんのことを大切に想っているからこその心配と思います。
子どもの将来、はどういったことを指しているでしょうか…?
パートナーの病気のことと、子どものこと、子どもの将来のことは、少し切り離して考えられるとよいと思います。子どもの人生は子どもの人生です。
例えば、今、子どもが学校に行かないの心配ごとがあるとして、それが、親の病気が関連しているかどうかは、わかりません。子どもには子どもの世界、社会があります。
子どもの心配と親の病気を切り離して考えられると、相談先も広がります。
例えば、子どもが部屋にこもっているのは、病気の本人に会わないように工夫しているかもしれないけれど、もしかしたら、両親と顔を合わせないように工夫しているのかもしれません。
少し客観的に振り返るとしたら…家の中の雰囲気はどうですか? 緊張感でぴりぴりになっていませんか?
育児・家事・仕事を一手に担っていたり、子どものライフステージに沿った大事な決断をひとりで負っていたり…
これまでの関係性やコミュニケーションの積み重ねがあると思いますが…
いつも自分ばっかり…という気持ちになっていませんか。
例えば、
病気の本人が、それまで外出もできない、何も楽しめない状態だったところから、遊びに出かけて、趣味のなにかを買ってきたとき。
少し元気になってよかったね、という気持ちよりも、「育児も家事も仕事ぜんぶひとりでがんばっているのに…。自分だけ出かけて。生活費のために節約を重ねているのに…。」といった気持ちになるようなときは、ひとりで頑張りすぎている、ストレスがたまりすぎているサインです。
子どもから見て、『あっ元気なったんや』て思っても、親がいらいらしてるかんじが伝わると、気疲れしてしまいます。
いっしょにいることで、互いの不安がすごく大きくなるときは、離れる選択肢もあります。
夫婦関係が悪くなって、子どもが親の顔色をいつも見ないといけない、ほんとなら子どもを巻き込む必要のない緊張感が走る家になっていないか…
それは気にかけてほしいです。
全部ひとりでなんとかしようとしないことだと思います。
そして子どものいろいろを、親の病気と結びつけすぎない、決めつけないこと。
ご自身のぴりぴりをちょっとゆるめて…
第三者がかかわると家の風通しがよくなります。そして、いろんな力を使って、その姿を子どもが見ることが、子どもの育ちにも生きると思います。
*参考ページ
》自分の体調・セルフケアについて
ぷるすあるは